2011年、ヤンキース傘下でメジャー復帰を目指していたマーク・プライアー。写真: Bryan Green / Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0(オリジナルをトリミング・リサイズ)
マーク・プライアーは、鋭い速球と縦に大きく割れるカーブで「完成された投手」と称された右腕。南カリフォルニア大学からカブスの全体2位指名を受け、2003年に18勝・245奪三振でナ・リーグを代表する投手となったが、故障が重なりMLBでの登板は5季にとどまった。現役引退後はドジャースの投手コーチを務める。
マーク・プライアーは、21世紀初頭の野球界で「完成された投手」の姿を最も鮮烈に示した右腕である。鋭い速球、落差の大きなカーブ、精密な制球を備え、大学時代から即戦力ではなく将来のエースとして評価された。投球フォームまで理想形と称された一方、その完成度の高さは後に、故障との対比によって繰り返し語られることになる。
南カリフォルニア大学では2001年に15勝1敗、防御率1.69を記録。138回2/3で202三振を奪いながら、与えた四球はわずか18個だった。ゴールデンスパイク賞をはじめ主要な全米年間最優秀選手賞を独占し、同年のドラフトでシカゴ・カブスから全体2位指名を受けた。
マイナーでは9試合に登板しただけで、2002年5月にメジャーデビュー。翌2003年には18勝6敗、防御率2.43、211回1/3で245奪三振を記録し、ナショナル・リーグのサイ・ヤング賞投票で3位に入った。速球で打者の目線を押し上げ、縦に割れるカーブで空振りを奪う。四球を避けるためにストライクを集めるのではなく、必要な場所へ強い球を投げ込める制球力が全盛期の本質だった。
同年のポストシーズンでもカブスをナショナル・リーグ優勝決定シリーズまで導いた。しかし、その後は肘や肩の故障が重なり、2006年を最後にメジャーのマウンドから遠ざかった。若い時期の多投だけを原因とする見方も根強いが、本人は走者との衝突や右肘への打球直撃など、複数の出来事が身体に与えた影響を挙げている。ひとつの原因で説明できるほど単純な故障歴ではない。
2007年の手術では、右肩の関節唇、前方関節包、腱板に広範な損傷が確認された。それでも現役を諦めず、パドレスでのリハビリを経て、2010年には独立リーグのオレンジカウンティ・フライヤーズとレンジャーズ傘下で登板。その後もヤンキース、レッドソックス、レッズの各組織で復帰を試みた。全盛期の球威を失った後には救援へ転向し、投球そのものを作り直した。写真に残る2011年の姿は、脚光を浴びた天才ではなく、ヤンキース傘下で再びメジャーを目指していた30歳の投手である。
2013年に現役を退くと、パドレスの野球運営部門と育成部門を経て、2018年にドジャースのブルペンコーチへ就任。2020年から投手コーチを務めている。自分自身が故障、手術、リハビリ、球威低下、投球フォームの再構築を経験したことは、投手を数字や球質だけで扱わない現在の指導にもつながっている。
プライアーの選手生活は、長く支配し続けた大投手の物語ではない。最高峰に到達した時間は短く、その後の大部分を復帰への試行錯誤が占めた。それでも彼は投球から離れなかった。自分の身体では完遂できなかった投球を、現在はコーチとして別の投手とともに設計している。
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年度別成績、契約情報、フルアーカイブ。
| 年度 | チーム | 勝 | 敗 | 防御率 | 試合 | GS | セーブ | 投球回 | 安打 | ER | 与四球 | 奪三振 | WHIP |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2002 | CHC | 6 | 6 | 3.32 | 19 | 19 | 0 | 116.2 | 98 | 43 | 38 | 147 | 1.17 |
| 2003 | CHC | 18 | 6 | 2.43 | 30 | 30 | 0 | 211.1 | 183 | 57 | 50 | 245 | 1.10 |
| 2004 | CHC | 6 | 4 | 4.02 | 21 | 21 | 0 | 118.2 | 112 | 53 | 48 | 139 | 1.35 |
| 2005 | CHC | 11 | 7 | 3.67 | 27 | 27 | 0 | 166.2 | 143 | 68 | 59 | 188 | 1.21 |
| 2006 | CHC | 1 | 6 | 7.21 | 9 | 9 | 0 | 43.2 | 46 | 35 | 28 | 38 | 1.69 |
| 通算成績 | — | 42 | 29 | 3.51 | 106 | 106 | 0 | 657.0 | 582 | 256 | 223 | 757 | 1.23 |
| 年度 | チーム | 試合 | 打数 | 得点 | 安打 | 2B | 3B | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 四球 | 三振 | 打率 | OBP | SLG | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2002 | CHC | 19 | 35 | 3 | 6 | 4 | 0 | 0 | 4 | 0 | 2 | 15 | .171 | .216 | .286 | .502 |
| 2003 | CHC | 32 | 72 | 6 | 18 | 4 | 0 | 1 | 6 | 0 | 2 | 27 | .250 | .270 | .347 | .617 |
| 2004 | CHC | 21 | 36 | 5 | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 20 | .139 | .184 | .139 | .323 |
| 2005 | CHC | 27 | 48 | 5 | 11 | 2 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | 14 | .229 | .260 | .271 | .531 |
| 2006 | CHC | 9 | 13 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | .077 | .077 | .077 | .154 |
| 通算成績 | — | 108 | 204 | 19 | 41 | 10 | 0 | 1 | 13 | 0 | 8 | 81 | .201 | .231 | .265 | .496 |
2003
| 年度 | 年俸 |
|---|---|
| 2003 | $1,450,000 |
| 2004 | $3,150,000 |
| 2005 | $3,550,000 |
| 2006 | $3,650,000 |
| 2008 | $1,000,000 |
通算合計: $12,800,000 (5 シーズン)
シーズン平均: $2,560,000
年俸データは1985年以降が対象です。
TGNの年俸表示は基本年俸を示しています。サイニングボーナス・会計上の按分額・ラグジュアリータックス用の値は、確認できる場合に別途記載します。