好きな漫画は『俺だけレベルアップな件』。YouTubeでは「Call of Duty」のゲーム動画を見る。好きな女優はガル・ガドット。日本ではアニメや食事を楽しみ、ラーメンも気に入った。
阪神に加入したデルミス・ガルシアの高知ファイティングドッグス時代のプロフィールには、そんな回答が並んでいる。強烈な打球を飛ばす大男の紹介欄に、漫画とゲームと女優の名前がきちんと収まっている。こういうところは、なんだかいい。
試合前は、まず体を十分に温める。それから音楽を聴き、集中力と自信を高めるという。好きな曲名までは書かれていない。少し気になるところ。
集中力という言葉は、高知で急に出てきたものではなかった。2022年、アスレチックスで467フィートの本塁打を放った後にも、本人はうまくいった要因として集中力を挙げている。メジャーでも独立リーグでも、試合に入る前に整えたいものは同じだったらしい。
高知では「ガルちゃん」
高知での愛称は「ガルちゃん」だった。
前期40試合で18本塁打。リーグの年間本塁打記録に並び、阪神入りを決めた。数字だけなら、いかにも大砲らしい半年である。
一緒にプレーした選手が話していたのは、打球のことばかりではなかった。調子が上がらない時期にも態度を変えず、ほかの選手と同じ練習をこなした。マシン打撃の準備を手伝い、ボールも拾ったという。
元メジャーの選手がボールを拾ったからといって、本来は特別なことではない。チームの練習なら、誰かがやる仕事だ。ただ、肩書のある選手が打てなくなったとき、どんな顔でそこにいるかは案外よく見られている。
ガルシアは高知で、そこを見られていた。「野球に対してすごく誠実」。18本塁打とは別に、そんな言葉を残して阪神へ向かった。
オルティスとタティス、そして聖書の言葉
最も影響を受けた選手はデビッド・オルティス。理由に挙げたのは精神面の強さと、大事な場面で結果を出す勝負強さだった。
憧れの選手はフェルナンド・タティス・ジュニア。こちらはエネルギー、才能、野球への情熱。ガルシアの回答は、どれもわりとまっすぐだ。
好きな言葉には、旧約聖書「ヨシュア記」1章9節を選んでいる。強く勇気を持ち、恐れず、落胆しないようにという言葉だ。
16歳で世界有数の有望株と呼ばれ、メジャーにはたどり着いた。それでも出場は39試合。その後はメキシコ、ドミニカ共和国、米国のマイナーと独立リーグを回り、高知まで来た。座右の銘にするには、ずいぶん長く使える言葉だった。
阪神で背負う番号は94。入団会見で覚えた日本語を聞かれると、「最高です!」と答えた。
これからラーメンの話が増えるのか、本塁打の話が増えるのか。高知では、そのどちらでもない、黙ってボールを拾っていた日のことまで覚えられている。
契約内容や背番号については、阪神入団の記事で詳しく伝えている。
出典:高知ファイティングドッグス、高知新聞、高知さんさんテレビ、MLB.com、阪神タイガース